デレク・ファン・バビューレン「取り持ち女」

  • 制作1940年頃
  • サイズオリジナル作品サイズは101.6cm×107cm
  • 所蔵コートールド美術研究所

デレク・ファン・バビューレンのこの作品は、フェルメールの義母マーリア・ティンスが所有していたためフェルメールの「合奏」「ヴァージナルの前に座る女」の背景に描かれていることでも知られている。
この作品は少なくとも3点存在している。アムステルダム国立美術館、ボストン美術館。そしてコートールド美術研究所に存在します。
このうちコートールド美術研究所に所蔵されているものがおそらくメーヘレン作と言われています。
この作品は終戦後にナチスに略奪された美術品の返還事業のどさくさに紛れてイギリスに上陸します。
1945年にメーヘレンが逮捕された時に、尋問の中で、この作品のことも質問されるのですが、メーヘレンは「あれは妻が骨董屋で買ったものだ」と否定します。
それでもメーヘレンの贋作説がくすぶるまま、2009年に科学調査が行われた際に使用されている顔料に現代のものが使われていないことから真作ではないのか?と判定された。
ところが次に2011年にBBCテレビの人気番組「偽物か?お宝か?」の中で調査されるとフェノール樹脂を使用して硬化を促進して古色を点けていたことが判明します。
1940年頃にこのテクニックを使用していた贋作画家はメーヘレンしかいなかったため、現在は再びメーヘレン作と考えられるようなっています。
メーヘレンの贋作はこの作品以外には、模写では無くパスティーシュ或いは既存作品からのパッチワークでしたので、
この作品はメーヘレンが「合奏」や「ヴァージナルの前に座る女」のような、「取り持ち女」を背景に使ったフェルメールの贋作を描くために作成した小道具では無いか?と考えられています。

ボストン美術館に所蔵されている本物。