姦通の女

  • 制作1942年
  • サイズ100cm×90cm
  • 所蔵fundita博物館

「贋作の贋作が描かれると、元々の贋作は真作になる」と言われます。
この「姦通の女」は上記「エマオの食事」の劣化した贋作です。
それでも、この作品はナチスの高官であったヘルマン・ゲーリング元帥の自慢のコレクションでした。
そして、終戦後に連合軍がナチスに奪われた絵画を回収する過程で、この作品を発見したことが「未発見のフェルメール」絵画を敵国に販売した売国奴の存在を探し出し。メーヘレンは「画商」として逮捕され、死刑を免れるために自らの贋作行為を告白することになる、贋作絵画の歴史上では注目すべき作品です。
それゆえ、その裁判の前後を映画化した2020年11月に全米で公開されたガイ・ピアース主演による「the last vermeer」の中では象徴的に使われています。

管理人は、始めは、この作品をメーヘレンの力の入っていない駄作。と捉えてましたが、時間が経つと少しづつ、この絵の良さが見えてきました。それは上野の国立美術館に、寄託されている「聖女プラクティス」を、やはり良い絵画なんだ。と感じるようななったのと同じような感覚です。
もちろん「エマオの食事」のような傑作ではありません。
それでも、他のフェルメール作品より左側から射し込んでくる光は明るく描かれていて、主キリストの慈愛が伝わるよう
配慮されてます。
そして主キリストのお顔は磔される前ゆえに、「エマオの食事」よりも若々しくデザインされています。
また、右後方の男性の顔が、「カラバッジョの作風に影響をうけているフェルメール」のようであったりと、違うアプローチもあります。