寺院で教えを授ける幼きキリスト

  • 制作1945年
  • サイズ157cm×202cm
  • 所蔵I・S プトン夫妻

敵国ナチスに国宝(未公開のフェルメール作品)を売却していた売国奴として逮捕されたメーヘレンが、死刑を逃れるため。
「自分が描いた贋作だ」と告白するも、信じてもらえない為に、連合軍ほかに、贋作者である証明をするために描いた最期のフェルメール風作品。
それゆえ制作中の写真も証拠として多く残っています。

この作品には再び作家としての光が戻って来ていると思います。
飲酒に明け暮れて集中力が無くなっていたメーヘレンが、「贋作という縛りを解かれて」フェルメール風でありながら自分の名前で世に問うた唯一の作品。
それだけにグレタ・ガルボのような両性具有にも見える神々しい若きキリストの造形の妙も素晴らしいです。
机の上の大きな書物や左右の聖職者たちの困惑している姿。
全てが新鮮な作風で仕上げらています。
この作品は、裁判のあと、購入者からヨハネスブルグの教会に寄贈されて、チャーチデスク後方に飾られていました。
その後1996年にクリスティーズ・ロンドンでのオークションで I・S プトン夫妻が落札して、現在はプライベートコレクションとなっています。